2012年、U.S.A.で発見した実物デッド『US Army OG107 コットン・サテン生地、60年代製造ロット』を用い製作した『OG107 サテンシャツ・65年 Model』をベースに完全復刻された5種のパッチと共に蘇った『Imjin Scouts-フルパッチ・モデル』は1960年代半ば韓国に駐留した米陸軍第二歩兵師団所属、北緯38度線付近に設けられた非武装中立地帯（D.M.Z.）の偵察任務に従事した一人の兵士 (軍曹) に支給された実物シャツを再現した物であり、左胸に『U.S.ARMY』、右胸に兵士の個人名『REINHARDT』がプリントされた1インチ幅のODコットン・テープが縫いつけられ、左袖上部には兵士の所属した米陸軍第二歩兵師団パッチ、左右の袖にはシェブロンと呼ばれる三本線の階級章 (軍曹)、右胸のポケットには非武装中立地帯（D.M.Z.）の偵察任務に従事したことを証す『Imjin Scouts』パッチがそれぞれ縫いつけられた『ODアーミーシャツ』。このシャツへある種の感慨、想いを抱く人々が現在50-60代、団塊の世代と呼ばれる中に多くあることは想像に難くない。1962年のレコードデビューから1969-70年の分裂・解散に至るまで世界を席巻し、尚多くの人々に影響を与え続ける『The Beatles』の主力メンバー『John Lennon』がグループ解散後、U.S.A.に移住し1972年8月彼の妻『Yoko Ono』と共にN.Y.マジソン・スクエア・ガーデンで行ったコンサート『One To One』で着用したのがこのアーミーシャツであった。純粋、繊細、平和、愛……それらの言葉が似合う彼とミリタリィの戦闘服、一見全く似つかわしく無い組み合わせも彼が着用することにより、このシャツが実にピースフルに見えたものであった。ニューヨーク近郊のミリタリィショップか古着屋でさほどの予備知識など持ち合わせず選んだであろうこのシャツ自体は彼が当時その速やかなる終結を訴え続けたヴェトナム戦争で用いられた物では無く朝鮮半島に設けられた非武装中立地帯をパトロールするいわば『平和を守る兵士』の物であったという事にある種の必然を感じずにはいられない。